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脂肪注入
目の下のたるみ取りやクマの整形治療として効果的な脂肪注入について解説します。
脂肪注入による目の下のたるみ治療
脂肪注入は、目の下のたるみやクマが生じている部分に、特殊な処理によって加工した自身の脂肪を注入することで、皮膚のへこみや不自然な見た目を予防したり解消したりする整形治療です。
脂肪除去(脱脂術)だけでは、脂肪を失った部分がくぼんでしまうこともあり、適切な量の脂肪を注入することで、凹凸を解消して滑らかで自然な見た目が実現されます。
徹底比較!目の下の脂肪注入
脂肪注入によって目の下のたるみやクマを改善する治療には、脂肪除去(脱脂術)によって取り除いた脂肪を再利用する場合と、腹部や太ももから採取した脂肪を利用する場合の、大きく2種類の方法があります。
料金[※1] | 施術時間 | ダウンタイム | 入浴・メイク | |
---|---|---|---|---|
料金[※1] | 200,000~500,000円 | 90~120分 | 腫れ:2~3日 | 翌日から可能 |
脂肪注入 (腹部・太ももから脂肪採取) |
200,000~500,000円 | 60~120分 | 内出血:1~2週間 | 翌日から可能 ※手術法により変動。 |
上記の方法では、注入する脂肪がどこ由来かという点が大きな違いです。しかし、実際には脂肪の注入方法や、注入前の脂肪の処理方法、脂肪除去と脂肪注入の組み合わせ治療など、その種類は多岐にわたります。
特に、脂肪除去によって目の下のたるみを治療した場合や、目の下が大きく膨らんで黒クマが発生している場合などでは、脂肪除去と脂肪注入を適切に併用しなければ肌に凹凸ができてしまうケールも少なくありません。また、無表情の時は自然に見えたとしても、笑った時などに肌のへこみが強調されてしまうこともあります。
以下に、脂肪注入として行われている治療法の一例を紹介します。ただし、実際の手術費用や手術時間はクリニックや体質などによっても異なるため、必ず事前の問合せやカウンセリングで確認してください。
リポトランスファー(目の下の脂肪除去で除去した脂肪を使用)
リポトランスファーは、目の下の脂肪除去(脱脂術)と併用して行われる、脂肪注入の代表例です。
脂肪除去によって取り除いた脂肪を、肌組織へ生着しやすいように処理をした後、特殊な注入器具(カニューレ)を用いて目の下へ注入します。
注入した脂肪の内のおよそ50~70%が生着し、術後1年ほどをかけて徐々に細胞が落ち着いていきます。そのため、最終的な手術結果を確認できるまでしばらく時間を要することが一般的です。
ただし、完全に定着した脂肪は半永久的に固定されるため、確かな技術やデザイン力を持つ医師に施術してもらえれば、長期間にわたって治療効果を得られる点はメリットといえます。反面、採取・注入できる脂肪量が少ないため、軽度なたるみやクマの治療が対象となります。[※2]
脂肪注入(腹部や太ももから採取した脂肪を使用)
腹部や太ももといった、脂肪が豊富にある部位から脂肪細胞を採取・処理した後、リポトランスファーと同様に目的の部位へ注入する方法です。
目の下から脂肪を採取する必要がないため、脂肪注入だけを行える治療法であり、採取できる使用できる脂肪量が多い点も特徴です。その反面、痩せて脂肪が足りない人では実施が不可能だったり、脂肪を採取する部位にも針跡や手術跡が残る可能性があったりと、デメリットも存在します。
脂肪の生着率や効果は基本的にリポトランスファーと同様です。[※3]
ピュアグラフティング
特殊なフィルターを備えた機器によって、腹部や太ももから採取した脂肪に含まれる不純物を除去し、「ピュアな脂肪」として処理することで、注入後の生着率を高めた脂肪注入方法です。
従来の脂肪注入と比べて、水分や血液、老化細胞といった不純物が20%以下にまで抑えられているため、生着率が向上し、またしこり発生のリスクを下げられるといったメリットがあります。
生着率はおよそ80%程度で、炎症リスクが少なく、さらに処理時間が短いため手術時間を短縮できる点も特徴です。[※4]
高濃度脂肪注入
腹部や太ももから採取した脂肪に含まれている脂肪幹細胞を、遠心分離機によって濃縮し、脂肪の生着率を向上させた脂肪注入方法です。
従来の脂肪注入よりも効果が期待でき、手術時間も1時間程度となっていますが、痩せている人など採取できる脂肪が存在しない場合は行うことができません。[※5]
マイクロCRF(コンデンスリッチ)注入
まず、腹部や太ももから採取した脂肪を特殊な脂肪調整機器によって濃縮し、高濃度の脂肪「コンデンスリッチファット(CRF)」を得ます。その上で、CRFを専用装置でさらに細かいマイクロ粒子へと調整し、クリーム状にしたマイクロCRF(CRFジェル)を注入します。
マイクロCRFでは注入した脂肪細胞が約100%生着するため、必要最小限の脂肪を注入するだけで済み、術後の腫れや内出血を極限まで抑えられる点が特徴です。[※6]
脂肪注入手術について
手術の流れ
カウンセリング・デザイン
治療法による脂肪の生着率や体質、理想とするイメージを考慮しながら、術後の仕上がりをデザインします。
麻酔
点眼麻酔や局所麻酔など、脂肪の採取部位と注入部位に応じて適切な麻酔を行います。麻酔の量が増えるほど術後の腫れといったリスクも上昇するため、最適な麻酔を見極めることが重要です。
脂肪除去
目の下の脂肪除去を同時に行う場合は、まずそれを先に行います。腹部や太ももから脂肪を採取する場合は行われません。
脂肪の採取・処理
必要な量の脂肪を採取し、注入するための細胞を抽出します。また、生着率を高めるための処理も必要です。
脂肪の注入
あらかじめ決めておいた治療計画にしたがって脂肪を注入します。必要に応じて複数回の注入が行われることもあります。
アフターケア
脂肪注入で適切な効果を得るためには、充分なアフターケアが欠かせません。また、術後は痛み止めなどが処方され、マッサージの禁止など注意事項が指示されます。その後、脂肪の定着や仕上がりの変化を経過観察によって見守ります。
自然な目元のデザイン
脂肪除去や脂肪注入では、術後すぐに治療効果が確認できないため、体質や術後の変化も考慮したデザインを行わなければなりません。
特に、目の下には注入しやすい部位と難しい部位があり、注入量も0.01ml単位という繊細な手術となるため、自然で美しい目元を手に入れるには医師の経験とデザインセンス、そしてそれを実現する技術力が重要です。[※7]
脂肪注入のリスク
脂肪注入は目の下のたるみ・クマ治療に効果的ですが、一方で未熟な医師による施術では、仕上がりがイメージとまるで異なってしまったり、注入した脂肪がしこりになってしまったりといったリスクがあります。
また、定着した脂肪は組織と一体化するため、失敗したからといって注入した脂肪だけを除去することが難しく、修正にはより優れた技術が必要です。
その他、細菌感染や内出血など、外科手術にともなうリスクも考慮しなければなりません。
脂肪注入の手術動画レポート
ここでは、銀座みゆき通りクリニック総院長の水谷和則医師が、27歳の女性を対象として実際に脂肪注入(マイクロCRF)の手術を行っている動画を参考にしながら、脂肪注入手術の詳細について検証していきましょう。[※8]
銀座みゆき通りクリニック総院長 水谷和則医師とは?
水谷和則医師は日本美容外科学会の認定専門医であり、さらに日本美容外科医師会で日本美容外科医師会会長賞受賞を授賞し、同医師会の常任理事も務める、美容外科のスペシャリストです。[※9]
また、銀座みゆき通りクリニックは目の下のたるみやクマの治療についても豊富な実績を持っており、大阪院・東京院を合わせて平成18年~平成30年で7,201症例という手術実績を誇っています。[※10]
眼窩脂肪の除去
動画ではまず、水谷医師による眼窩脂肪の除去について解説がされています。この動画内の手術では、最初に目の下のふくらみやクマの原因である眼窩脂肪を除去した後、改めて患者の体から採取した脂肪を注入するという流れです。
眼窩脂肪の除去は不要な場合もある
水谷医師の解説によれば、常に脂肪注入と眼窩脂肪の除去を併用する必要はありません。
ただし、眼窩脂肪を除去することでたるみを改善するだけでなく、脂肪注入をすべきポイントを明確にして、術後の仕上がりを美しく自然なものにコントロールしやすくなるというメリットもあるようです。
眼窩脂肪の除去を併用する効果とは?
眼窩脂肪除去を活用する効果の1つに、クマによる肌色の改善をしやすくなるというものがあります。また、眼窩脂肪を除去することで下まぶたが一時的に凹み、涙袋のラインが明確になります。
そのため、脂肪注入によって涙袋のラインを活かしたまま全体を滑らかに整えることで、患者の理想に合ったデザインへ近づけることが可能です
眼窩脂肪の除去後は目の下がやや凹んでいる
下まぶたの脱脂術が終了すると、目の下のふくらみは解消され、むしろやや凹んでいるような状態になります。
脂肪吸引
腹や太ももの脂肪を吸引
眼窩脂肪の除去後に行われる脂肪注入では、脂肪細胞を患者の体から採取することが必要です。
脂肪吸引では患者のお腹や太ももといった、脂肪が多い場所へ採取用の管を挿入し、注射器で吸い上げるようにして脂肪細胞の採取が行われます。
結膜の切開
最初に切開した部分へスキンフックを引っかけ、サポートスタッフが患者の下まぶたを固定します。その上で、高周波メスを使って切開範囲を広げます。
脂肪の処理
遠心分離(1回目:脂肪細胞の単離)
脂肪吸引によって採取された脂肪細胞は、まず遠心分離機へかけられます。遠心分離機は、容器を高速回転させることで中身に遠心力をかけて、重量差によって層状に成分を分離させる医療機器です。
1回目の遠心分離機によって、下層から血液、脂肪細胞、そしてオイルという順で三層に分離されます。必要な組織は中間層である脂肪だけであるため、上から圧力をかけることで最下層の血液を押し出し、脂肪細胞を抽出します。
遠心分離(2回目:マイクロCRFの採取)
撹拌した脂肪細胞液を改めて遠心分離機にかけることで、破壊された細胞や不純物と、微細化された脂肪細胞(マイクロCRF)の層に分離されます。そして改めて、下層に沈んでいるマイクロCRFのみを採取し、脂肪注入に使用される点が特徴です。
また、採取されたマイクロCRFは改めて細い注射器へと小分けにされ、顔の左右へ注入しやすいように準備されます。
眼窩隔膜
眼輪筋周辺組織と眼窩脂肪を分けている隔膜を切り開きます。隔膜が開けば、眼窩脂肪へのアプローチも可能です。
脂肪注入
進入点を作る
最初に脂肪注入用の管を差し込めるように、太さ20Gの針を使って目の下や頬へ刺し、進入点を作ります。この時、麻酔が使用されているものの、患者には意識が残っているため、水谷医師は患者に「痛みはないですか」と声をかけながら患者のケアも同時に行っていきます。
なお、参考動画では術前・術後の効果を比較しやすいよう、まず左側の目の下から手術が行われていました。
脂肪注入
脂肪細胞(マイクロCRF)で満たされた注射器に、脂肪注入用の管を装着し、進入点へ管を差し込み、同時に脂肪を注入します。
この時、水谷医師は単に管を差し込んで脂肪を押し出すのでなく、管の先を皮膚の下で動かしながら、広い範囲で均等に脂肪を注入している様子がわかりますが、このような微調整は高い技術力が問われる手術であると感じました。
注入した脂肪が一カ所に固まって盛り上がるのを防ぐためだけでなく、注入しながら目の下の形をデザインしているということ。注入直後から滑らかな印象に整えている点に注目です。
常にバランスをチェックしている
水谷医師は動画の中で、何度も綿棒で患者の肌に触れています。これは、手術の内容や肌の凹凸を視聴者へ分かりやすく伝えるためだけでなく、実際に医師の指で患者の肌の状態を確認し、また圧迫された後の変化を確認するためです。
経験豊富な医師であっても、患者の体質や症状は個々に異なるので、常に状況を確認しながら手術を進めることはとても重要です。
反対側への脂肪注入
片側への脂肪注入がひとまず完了すると、改めて反対側にも進入点を作り、同様の手順で脂肪注入を行います。
縫合に使われるのは、時間経過と共に人体へ吸収される吸収糸(5-0PDS)で、糸の結び目が眼球に当たらないように、埋没縫合で行われます。
左右バランスと表情の確認
両側への脂肪注入が完了すると、改めて左右差や違和感がないかどうかの確認が行われます。
この時、単に脂肪を注入した部位の凹凸や、左右の見た目の違いを確かめるだけでなく、実際に患者に顔を動かしてもらい、表情の変化に合わせた違いを見て不自然さがないか確認します。
脂肪の再注入
左右のバランスに問題がなく、笑顔を作った時などにも違和感がなければ、基本的に脂肪注入は終了です。
ただし、参考動画では体内での脂肪組織の減少を想定して、最後にほんの少しだけ脂肪を再注入して、最終的なデザインが行われています。
この時、表情を変化させても違和感のない状態を保ちながら、十分量の脂肪注入を行うという点が、医師の腕の見せ所といえるでしょう。
アフターケア
術後は当日だけ進入点の針穴へシールを貼り、翌日からメイクも可能になります。また、術後3日程度では内出血の跡のような色も見られますが、1週間程度で改善されていき、3週間後には自然な状態で目の下のたるみやクマが解消されていると確認できました。
参考サイト
- [※1、2]銀座セオリークリニック公式サイト,「脱脂術+リポトランスファー」
- [※1、4]銀座セオリークリニック公式サイト,「脱脂術+ビュアグラフティング」
- [※7]銀座セオリークリニック公式サイト,「セオリー独自の仕上げデザイン」
- [※8]YouTube「目の下のたるみ・くま治療手術ダイジェスト」
※費用について
目の下のたるみ整形の平均的な費用は30~50万円と言われています。施術料金のほか、初診料や薬代がかかる場合もありますので、施術を受ける際は一度問い合わせてみることをおすすめします。
※ダウンタイム・副作用について
施術後は2~3日、腫れや内出血が出る可能性があります。施術方法や体質によって変動しますので、不安な点についてはクリニックへご相談ください。
※施術料金について
2019年10月1日より消費税が10%に引き上げられたことを受け、各クリニックの施術料金が変更になっている場合があります。費用が税込みか税別かを含め、最新の情報はクリニックの公式サイトで確認の上、詳細不明の場合は直接クリニックにお問い合わせください。